逆流性食道炎|大阪市住吉区の内科・消化器内科|しもの内科・内視鏡クリニック【沢ノ町駅徒歩5分】

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逆流性食道炎

逆流性食道炎|大阪市住吉区の内科・消化器内科|しもの内科・内視鏡クリニック【沢ノ町駅徒歩5分】

逆流性食道炎とは

強い酸性の胃液(胃酸)が胃の内容物とともに食道に逆流することにより、食道が傷つき、炎症を起こすことで発症し、胸やけや胸の痛みなどさまざまな症状が生じます。もともと日本人には少ない病気といわれていましたが、近年、日本でも増加傾向にある疾患です。

逆流性食道炎のメカニズム

通常、胃酸は食べ物を消化するために胃内で働きます。しかし胃酸が過剰に分泌されたり、胃酸の逆流を防ぐ下部食道括約筋の機能が低下したりすると、胃酸が食道へ逆流してしまいます。強い酸性の胃酸が食道粘膜を傷つけ、炎症を引き起こします。これが逆流性食道炎のメカニズムです。

逆流性食道炎が増えている要因

近年、日本人の食生活が欧米化したことが患者数の増加に影響しています。特に肉類の摂取増加は、消化に必要な胃酸の分泌を促進します。また、衛生環境の向上や除菌治療の普及でピロリ菌感染が減少したことで、胃酸の分泌量が相対的に増えているとも言われています。
さらに、高齢化に伴い姿勢が前かがみになることで腹圧が高まり、胃酸が逆流しやすくなります。肥満や食道裂孔ヘルニア、脂肪分の多い食事、ストレス、喫煙、飲酒などの生活習慣も、逆流性食道炎の発症リスクを高めます。

(1)胃酸分泌の増加を引き起こす要因

食生活

日本でも欧米型の食生活が取り入れられ、肉を多く摂取するようになりました。肉は魚に比べ消化に胃酸を多く必要とするため、分泌量増加の要因になりやすいです。

塩分摂取量の減少

日本人の塩分摂取量減少も、胃酸の分泌増加に関係していると考えられています。

ピロリ菌感染率の低下

ピロリ菌をそのままにすると、胃の粘膜の萎縮を引き起こし胃酸の分泌が低下します。日本では衛生環境の改善や除菌治療の普及によって、ピロリ菌の感染率は大幅に低下しています。感染率の低下に伴い、胃酸の分泌が増加していると考えられます。

(2)胃酸の逆流が起こりやすくなる要因

加齢などにより背骨が曲がり、前かがみになる結果、腹圧が上昇することが挙げられます。また脂肪の摂取量が多いと、食道下部の括約筋を緩めるコレシストキニンという物質が分泌されます。この他、食道裂孔ヘルニアなどの関連性も報告されています。
また最近では、一時的な逆流に伴う粘膜の炎症やストレスなどによって、食道の過敏性を異常に高めてしまうこと(知覚過敏)が、逆流性食道炎の症状発生に大きく関与するとの報告もあります。

逆流性食道炎の主な症状

逆流性食道炎の症状には個人差があり、非常に多彩です。全く症状がない方もいれば頻繁に胸焼けやのどの違和感などを自覚される方もいます。代表的な症状には以下のようなものがあります。

胸やけ

胃酸が食道を刺激することで、胸が焼けるような痛みや締め付け感が生じます。

呑酸(どんさん)

胃酸が喉元まで上がり、酸っぱい液体が口内にまで逆流することで、酸っぱい味を感じたりゲップが頻繁に出たりします。

口腔内やのどの不調

胃酸の刺激により、喉や口内に炎症が起き、痛みや飲み込みづらさ、声がれ、口内炎が多発する場合もあります。

咳や喘息

胃酸が喉や気管支にまで刺激を与え、慢性的な咳や喘息症状を引き起こすケースもあります。

その他

また、漠然とした胸部や喉の違和感・不快感が起こることもあります。

逆流性食道炎の検査と診断

問診

逆流性食道炎の診断では、患者さん自身の症状を詳しく聞き取る問診が非常に重要です。QUEST問診票やFスケール問診票など、専用の問診票を使うことで約60〜70%の患者さんを診断できます。

内視鏡検査

内視鏡検査では、症状の確認後に食道の炎症や損傷の程度を詳しく調べます。内視鏡を用いて食道粘膜の状態を直接観察し、必要に応じて組織を採取して病理検査を実施します。食道がんや食道潰瘍など、他の疾患との鑑別を同時に行います。

PPIテスト

PPIテストは、内視鏡で異常が確認できない場合や内視鏡検査が困難な場合に行われます。胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を一定期間服用し、症状が改善するかどうかを評価します。

逆流性食道炎の治療方法

治療には生活指導、薬物療法、外科的治療があります。

(1)生活指導

症状を緩和するためには、食後すぐに横にならない、腹圧がかかる前かがみの姿勢を避けるなどの生活習慣の改善が重要です。また、胃酸の逆流を誘発しやすい食品の摂取を控えることも勧められています。

逆流を起こしやすい食品の例

  • アルコール類
  • コーヒー(特にブラック)
  • 炭酸飲料
  • たばこ
  • 油っぽいもの
  • 甘いもの
  • 酸っぱいもの(梅干し、柑橘類)
  • パンなど炭水化物

(2)薬物療法

現在の逆流性食道炎治療の中心は薬物療法です。主に胃酸分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)が用いられます。さらに、胃腸の運動を促進し、内容物をスムーズに送る薬剤や食道粘膜を保護する薬剤などを組み合わせて使うことで、より効果的な治療が期待できます。現在の重症度・症状や他の疾患などを考慮してご相談しながら処方を決めさせていただきます。

(3)外科的治療

薬物治療で改善が見られない場合や重症化して食道が狭窄してしまったり、出血を繰り返したりする方には、手術で逆流を防止する治療が検討されることがあります。ただし、手術は身体に負担の大きい方法であるため、十分な内科的治療が行われた後に検討されます。

早期の診断と治療が重要

逆流性食道炎は、一見すると軽度な不快感と思われがちですが、放置すると食道が損傷し、さらなる合併症を引き起こす恐れもあります。胸やけや呑酸など、少しでも気になる症状がある場合には、専門医の診察を早めに受けることをおすすめします。食生活や生活習慣の改善、適切な治療を通じて、快適な日常生活を取り戻しましょう。